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「みゆ、パパはお姉さんと大事な話があるから、先に部屋に行ってなさい」
さっそく、みゆりちゃんと一緒に部屋に行こうとしたわたしを先生が止めた。
はーいと少しがっかりした様子でみゆりちゃんは自分の部屋へ向かった。
「今日は来てくれて本当にありがとう。みゆのあんな嬉しそうな顔、久しぶりに見たよ。俺も久々に楽しかった」
「いえいえ、わたしもすごく楽しかったです。ありがとうございました」
「でも、もうこれっきりにしてくれないかな」
「え?」
嬉しいお言葉の後に、思いがけないお願いをされて混乱した。
「まさか、あんなにみゆが喜ぶと思ってなかったんだ。正直、みゆが舞沢さんのことを拒絶したら、舞沢さんも諦めがつくんじゃないかと思って、今日は招待したんだ。善意を利用するようなことをして申し訳ないんだけど」
クリスマパーティーを快く引き受けてくれた理由を知り、愕然とした。
そっか……そういうことだったのか。
おかしいと思ったんだよね。明らかに断りそうな空気だったのに。
ほんの少しでも期待した自分を恥じた。
「あの子は今、母親がいない生活にやっと慣れてきたところなんだ。これからもあの子は俺と二人で生きていかなきゃならない。でも、こんな風に女性が来て楽しい気持ちになったら、あの子だって期待すると思うんだ。まだまだ母親が恋しい年齢だし、甘えたいって思ってしまうと思う。現に今だって泊ってほしいなんて言ってるしね。楽しい思いをした分だけ、いなくなった時の寂しさは大きんだ。申し訳ないんだけど、あの子にこれ以上寂しい思いをさせたくはない。だから、今日はこのまま会わずに帰ってほしい」
わたしのここが気に入らなかったという話なら、これから直して頑張りますって言えるけど、みゆりちゃんのことを言われてしまうと、何も言えなくなってしまう。
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