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「いいもん! もうお姉ちゃんと遊べないならサンタさんなんか来なくていいもん」
「みゆりちゃん……」
「ねえ、パパ。どうしてダメなの? みゆ、お姉ちゃんとまた遊びたい。お姉ちゃんが新しいママになってほしい」
ベッドから起き出すと、みゆりちゃんはわたしの手をギュッと握った。
「え……」
純粋な子どもの言葉に、大人たちは一瞬顔を見合わせて固まった。
どうやらみゆりちゃんは本気で思っていたらしい。
わたしにママになってほしいと……。
「お姉ちゃんはパパのこと、嫌い?」
素直過ぎる言葉に戸惑ってしまう。
みゆりちゃんの前で言ってもいいものか迷ったけれど、悪いことを言うわけじゃないしね。
わたしは大きく息を吸い込んだ。
「ううん。嫌いじゃないよ。お姉ちゃんはみゆりちゃんのパパが好き」
「じゃあ、パパは? パパはお姉ちゃんのこと嫌い?」
わたしの返事を聞いて少しホッとした顔をした後、みゆりちゃんはパパにも同じことを訊いた。
何て答えるのかと思うとドキドキしてしまう。
「そりゃ嫌いじゃないけど、だからってママになってもらえるわけじゃないんだよ」
嫌いじゃない、か。もうひと声ほしいところだけどね。
「どうして? 好き好き同士だったら結婚するんでしょ?」
真っ直ぐな疑問に先生は頭を抱えた。
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