サンタがパパにキスをした

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「そうかそうか。星奈、頑張ったんだね。でもダメだったんだ。しょうがないじゃん。独身っていっても子持ちじゃ、既婚者よりハードル高いよ。まあ、そこまでちゃんと言ってくれたのはさ、星奈に変な期待を抱かせないためだろうし、子どものこと隠して体の関係だけ求めてくる男よりは断然いいよ。今日は思い切り泣きな。涙が枯れるまで泣いて、先生のことは諦めな。アタシがイイ男紹介してあげるから。ね?」  一度、どれだけ素敵な人か見てほしいとお願いして、ひろき整体院に行ってもらったことがあるので、キャサリンも広木先生のことは知っている。  今回のことを知るまでは素敵な人だから頑張れーって応援してくれてたけど、さすがにもう諦めろと言われた。  バツイチなだけならまだしも、子どもがいるのは厳しいと……。  キャサリンの言うことは尤もだった。  わたしだってこれが友達の恋バナだったら同じことを言うと思う。  でも、でも……。  いけないと思うほど先生に会いたくなって、ひろき整体院に行くことは止められなかった。  自分でもバカなのは分かってる。  叶わない恋をしたって傷つくだけ。  分かっているのに、会う度に好きになってしまった。 「あの、よかったらイブの夜、うちでクリスマスパーティーしませんか? もちろん、娘さんも一緒に」  どうしても諦めきれなかったわたしは、娘さんごと先生を誘ってみることにした。 「え? ああ、気持ちは嬉しんだけど、娘はまだ小さいし、夜出歩くのはちょっと……」 「じゃあ、わたしが先生の家にお邪魔してもいいですか? 何だったら、サンタさんの恰好をして行ってもいいです! そしたら娘さんも喜びませんか? ね? ね?」  迷惑行為のスレスレ、いや寧ろギリギリアウトな感じもするけれど、わたしは強引な提案をした。
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