プロローグ

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 園内正面、土産物を扱う売店の脇に四つの光るものがちらりと見えた。  それらは二つずつが対になって緑色に輝きながら動いている。真二はその一方にライトを向けた。  ライトから逃れるように左に動いたそいつは縞の模様がある身体、太い四肢、立派な尻尾を真二に見せてから闇に紛れる。おそらく獰猛(どうもう)なネコ科動物・・・・・・。 (トラ!)  あきらかに園内に異常事態が発生している。肉食獣の鼻をつく臭いが夜風に混じった。  いつのまにかもう一対の眼が正面に近づいている。真二はライトをかざした。  褐色の逞しい身体、立派なたてがみを揺すり低く唸りながら、そいつはこちらに向かってゆっくりと歩いてくる。その姿が近付くにつれて真二は恐怖で歯の根が合わなくなった。 ((オス)ライオン!)  思わず後ずさりしながらも真二はその姿をライトで捉え続けた。  鉄製の門の隙間、光の輪の中に赤く濡れた大きな口と鋭い牙が見えたかと思うと、空気を引き裂くような低い咆哮が夜の闇に響いた。
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