第一章 不機嫌の理由

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 3年前この学校に赴任してきた衛は、まず公立高校にしては立派なこの温室に驚いた。  特別教室棟の脇に建てられた、天井の高い大型ガラス温室。  そしてまた、その放ったらかしで荒れ放題の有様にも驚いた。  ガラスは割れ、ところどころに菓子の袋やジュースのペットボトル、あろうことか煙草の吸殻やビールの空き缶まで散乱している。  そしてそこに住まう植物たちはほとんどが枯れるか、またはでたらめに伸び放題になっているかのどちらかだった。
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