#彼女

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#彼女

気づくと私はある公園にいた。 「ここはどこ?」 夕暮れと360度見覚えのない景色が私の寂しさを増幅させる。 そして知らない場所にただただ立ち尽くす。 公園にはクールビズらしくYシャツを腕まくりした会社帰りの人や、買い物途中であろう人の姿がまばらに見られる。 しかし、その他人に対して無関心そうな眼が怖くて私は話しかけることすらできずにいた。 人々は私のすぐ横を通り過ぎていく。まるで私など見えていないかのように。 「存在しないもの」として扱われている気分になる。 この公園の大きな特徴は、中心にある池だった。 大きめの池の真ん中には、岸をつなぐ橋がある。 ボートの貸し出しもしているようだが、今日は定休日なのか乗り場には係員の姿も見えず、ボートも池の端の方にきれいに並んでいた。 見慣れないはずのこの公園。でも、どこか不思議と懐かしい感じもした。 見渡すと6時15分を指す時計を見つけた。既に太陽はその姿を半分以上隠している。すぐに日は沈む。そしたらきっと真っ暗になる。そもそも帰る方向がわからないのに、道も見えなくなってしまう。そうなったら今日はここで野宿になるのだろうか。夏だから寒くて凍えることはないだろうけど…。 そんなのいや!華の女子高生がシャワーも入れずに夜の公園で一夜を一人で過ごすなんて。そんな思い出の一ページはいらない。 なぜかその時、帰れないことよりも私の16歳の女子としてのプライドが勝った。 まぁ、その状況を回避するためにも、今日の朝からの記憶をたどってみよう。
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