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~バレた~
「いいよ」
三十分後に着いたんだけど、
「隅野さん!」
大雪の中、4時間の疲労による熱が出て倒れてしまった。
徹の家のソファーに横になり、
「ごめんね、道長君」
「いいから、毛布かけて」
「ありがと」
「あと風邪薬飲んで、ホラッ」
薬箱から持ってきてくれた薬を飲む。この時ホント優しい人だと思ったなあ······。
しばらくしても熱は下がらず、
「38度、両親に迎えに来てもらおうよ」
「うん、連絡、するね」
自宅に電話をかけ迎えに来てもらう事にしたの。
「どうだった?」
「お父さん帰って来たら向かうって」
「そうか、良かった、じゃあそれまで眠ってな」
「うん」
私は素直に眠らせてもらった······。
「うっ」
目が覚めて迎えがまだのことに気付く。
「道長君」
「目覚めたんだ、調子どう?」
徹はキッチンの方にいて、
「はい、おかゆ」
「え~、ありがとう」
温かい、丁度良い温度のおかゆを頂いた。
「道長君って家庭的なのね」
「え、そ、そんなことないよ」
「もう8時か~」
「少し楽になった?」
「うん、薬が効いてきたみたい」
「ホッとするよ」
「もうクリスマスに近いね」
「そうだね」
このあと、お喋りしたりゲームしたり、無茶しても来て良かったと思うくらい楽しい時間を過ごした······。
そして、夜の11時半にスカイカーが来て、
「今日はごめんなさい迷惑かけちゃって、それと、おかゆありがとう、嬉しかったよ」
「う、うん、良かったよ、それじゃあね」
「うん、じゃあね――徹くん」
「えっ?」
この時から、彼を下の名前に君を付けて呼ぶようになった······。
「――あの時のおかゆ、嬉しかったな~」
「あの時の寝顔、可愛かったな~」
なによそれ、と頬を赤らめたけどそう思い返す私たち、
「あんまり心配させるなよ」
「うん」
気付くと夜になり二人は家に帰った······。
昨日の仕事で休日を貰った私は愛にLINEで、
「昨日はごめんね、仕事忙しくてさ~」と送る。
するとお昼に、
「分かってる。今日仕事終わったら、会わない?」
「OK!」と返して会うことに。
午後5時20分、いつものカフェ·バタフライで愛に会う。
「おまたせー」
「元気だった? 未来」
愛は一足早く着いていた。
「元気元気~······仕事は大変だけどね」
「それってー、本当に元気なの?」
何か怪しまれてる気がするけど二人で飲み物を注文すると愛が大きく溜め息を吐き、
「はぁ~、はいこれ」
自分のスマホをバック出してテーブルに置く。「何?」
愛が動画で見せたのは、
「こっ、これはっ······え~っ、どういうこと?」
マザー·ガーディアンから降ろされていた私の姿。
そしてニュースの記事には『気候獣消滅⁉ 晴れた空に希望の光』とある。
「――気候獣と台風を消した。ニュースになるのは当たり前でしょ」
よく考えてみたらそれはそう、普通の事ではない大変な事をしたのだ。
「そーれーにっ、私に内緒にしてたしっ!」
「んげっ」タピオカでむせる。
「未来っ、あたしが心配性って知ってるでしょっ!」
「ごめんなさ~い。愛に心配かけたくなくて~」
「動画とか記事になるような事を隠せるわけ無いでしょう、もう、バカなんだから。そう言えば高校の時も――」
高校2年の春休み、私と愛は二人で蝶都市のショッピングに出かけようと大村駅に集合した。
「おまたせ――ハァ、ハァ」
「未来、大丈夫?」
熱があったのに黙ってたの。そのため当然、
「う~······」
「未来っ、すごい熱っ」
電車に乗る前に愛が体調の悪さに気付いてくれて、
「もう~、熱があるなら言ってよう~っ!」
「ご、ごめん~」
結局、愛が私を家まで連れて引き返す事に······。
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