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~チョコ~
すると、
「未来さん、お話し中ですが昼食にしてください」
「あ、そうだった」
「ごめんなさい、午後も無理しないでね」
「色々すいません」
「それじゃ」
霞さんの辛いことって何だろう、気になったけど食事に行った······。
1階の受付の奥で食事を取ったあと再び訓練を開始する。イメージして休憩、そしてまたイメージして休憩と今日はそれの繰り返し。
「――はい、今日の訓練は終了です、未来さん」
シミュレーションマシンから出ると、
「う~、疲れた······」
頭がボーッとして、もうなにも考えられない。
「お疲れ様でした。大分お疲れのようなので、今夜は家でお好きなものを食べたりしてリラックスしてください」
「あり、がとう、チャイルドさん」
帰りの服に着替え1階の受付まで行くと、
「あ、徹」
「未来、帰ろうか」
「うん······」
会社の入り口を出ると猫背になりぐったりしている私を見た徹は、
「大分疲れてるね」
「けっこうバテバテ」
「スカイカーで寝てな」
「うん、そうする。あと、甘いもの買っといて」
「わかったよ」
スカイカーは空気の力で浮遊する車。私は彼に買い物を任して隣の座席に座るとすぐ寝てしまった······。
「――家に着いたよ」
「んあ、お帰りなさい」
「寝ボケてないで、ホラ」
まだボーッとしてたけどマンションに入るとすぐ、徹が買ったチョコに手を伸ばす。
「少しは元気戻ったみたいだね」
「今日さぁ~」
徹に今日の出来事を話したんだけど~、
「訓練か······」
その深刻そうな顔を見て、6日後が実戦ということは言えなかったの。
「大変だったね」
「最初は何でも大変ね」
「だよな〜」
「何? じっと見て」
「なんか安心するな、未来が笑顔で」
「え、ちょっと、照れるじゃない」
私はつい嬉しくなった。
「徹もお疲れ様。食事の準備するわね」
「手伝うよ」
「ホント? もう、うれしっ、チュッ」
「ちょっと未来~」
頬にキスをすると顔が赤くなった徹、私も彼の笑顔で力が湧いてくるの、だから頑張るわ。それと霞さんの事を訊くの忘れてたけどそれはまた次の機会で······。
――昨夜の幸せがまだ抜けない次の日。
「未来さん、今日は元気そうですね」
「そお?」
チャイルドの言葉で昨日のシーンを思いだし、
「うふふッ」と声が漏れてしまう。
「では機体を動かしてみましょう」
早速シミュレーション開始、と思ったけどマザー·ガーディアンには脚が付いてないのよね。
「マザー·ガーディアンに、脚のイメージをして下さい」
「え、急に言われても~、どんな感じで······」
「難しく考えずに、未来さんの知っているモデルさんの脚などをイメージしてみて下さい」
私の考えている事が分かっているのか言われた通りにイメージしてみると、
「脚が出た!」
モデルのような美脚のエネルギーの脚が出て驚いたら「あれ?」すぐ消えてしまう。
「未来さんイメージを離さないで下さい」
「ごめんなさい、驚いちゃって」
「では、今日はマザー·ガーディアンの脚を維持するためのイメージを繰り返しましょう」
これが結構大変で、私の場合は気持ちが強いらしく、喜んだり驚いたりするとイメージから離れて消えてしまうの。だから常に頭からイメージを離さないように気を配ってなければならない。今日も甘いもの買おう······。
その次の日はマザー·ガーディアンの手を出す訓練。
「よし、出た」
出すのは簡単なんだけど、
「あ~まただ~」
手と脚を同時に出した状態が不可欠なので今回はこれを反復、そして今日はまたチョコ······。
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