~同調~

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~同調~

 ――訓練開始4日目、訓練を始めてから1日1日が長い気がする。いい経験をしてるってことかな······。 「未来さん、今日の訓練はなので、頑張りましょう」 「わかったわ」私は身構えた。 「気候獣(きこうじゅう)の止め方の説明です。まず、未来さんがイメージして出した、手の部分で気候獣に触れる事が1つ目です」 「触れて終わりじゃないのね」 「2つ目は、触れると“同調”すると思われます。“同調”すると“心域”に着くと言われています」 「シンイキって、神の域? ちょっと怖いな」 「違います。“心域”とは、心の領域です。そこで気候獣を静めて頂きます」 「静めるって、会話とかするの?」 「“お互いに分かり合う”ということみたいです。私はAIなので“同調”したことはないのてすが、未来さんと気候獣は“心域”の中で心が繋がってる状態です。なので、言葉等も心配ないと思われます」 「何か、やってみないとって感じね」 「では試してみましょう」  ちょっと緊張してきたけど、大丈夫と自分に言い聞かせる。 「始めます。頑張って下さい」  シミュレーションがスタートして、 「イメージしてっと」  マザー·ガーディアンから、紫色でエネルギー体の手脚を出して準備はOK。都会のステージになり、家六軒くらいの距離に何かいる、 「エネルギー体のネズミです」 「これが気候獣」  ニュース等で度々目にしたけどちゃんと見るのは初めて。スカイカー位の大きさでも暴れたら大変。 「では、触れてみましょう」 「う、うん」  手脚が消えないようにイメージを保ちつつ近づく。 「······触れれば良いのよね、えいっ」  その瞬間、ふと気が付くと私が見たのは真っ白い空間だった······。 「白い空間······あ、そうだ、ネズミネズミ」  浮いている感じに唖然としながら探そうとしたら目の前にネズミはいる。 「う~ん、どうすれば~······」  静めるのに一体どうすればいいのか思いつかない。考えながらネズミを見ると、何かを感じた。 「······何だろう、この感じ」  私はなんか、直感で不安と思って、 「この子の不安、なのかな」  私もネズミも不安なのかもしれないと思い深呼吸する。自分を落ち着かせ自然体でネズミに話しかけた。 「大丈夫よ~、大丈夫だからね~、おいで~」  私は、『安心して』という気持ちを込めて両手を出す。するとネズミは躊躇する事なく手の平に乗っかった。 「あ、ありがとう」  さっきまでの不安が私の中でなくなっていく。これはこの子もそうなんだと感じる。  私とネズミは分かり合えたその瞬間――。  目をゆっくりと開くと、元のシミュレーションに戻っていた。 「同調、お疲れ様でした。未来さん、終了ですよ」  不思議と左右を見渡し、 「終わったんだ」 「大丈夫ですか、未来さん」 「うんっ······あれ、ヤバッ、大丈、夫じゃないみた、い」  体から力が抜けて頭がボーッとなり、何も考えられない感じが。そしてまぶたが重く急な眠気でその場で倒れてしまった······。 「う~ん」  再び目を覚ますと天井が、 「ここは······」 「ここは保健室よ」 「生月(いづき)先生······私、気絶しちゃったんですね」ホッと肩を撫で下ろすがすぐ、 「生月さんっ、お腹のっ、お腹の子は大丈夫ですよねっ!」 「大丈夫よ」 「はぁ~、よかった~」  自分の身よりも子供が心配、 「うっ······」 「まだ疲れてるんじゃないの?」 「そうみたいです」  倦怠感を感じ自分の精神がまだ完全じゃないことに気づく。 「今日はもう、休んだ方がいいんじゃない?」 「でも······」  ここの時計を確認するとまだお昼前、 「私が言っとくから」 「すいません、そうします」  今のままではとても訓練出来そうもないのでトレーニング室で着替え、お昼を食べに1階の食堂へ向かう。  ――メニューは、ご飯とコロッケそのあとデザートにカップアイスのバニラ、タピオカを飲んだ。 「······あ~美味しかった」  ご飯のあとのデザートに満足した。けど、 「ふう~」  回復はしない。 「当たり前かー」  仕方なく家に帰るため徹にLINEを送りバスで自宅に戻る。
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