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Ⅰ.運命
僕は今まで行ったことのない場所へ行きその土地の文化を感じるのが好きでよく旅行をしていた。
季節は秋。
トレンチコートを着た僕は、黄昏時の光州を楽しんでいた。
優しくて温もりのある陽が照らすカフェ
歩き疲れていた僕はそのカフェの扉を開けた。
「어서 오세요」(いらっしゃいませ)と透き通った声が響いた。
初めてあなたを一目見た時、まるで流れる時間が止まったかのように目を奪われた。
あの感情は、きっといくつになっても忘れない。
その青年は、澄んだ美しい目をしていてとても美しかった。身長は高く、手も大きく男性的な逞しさも感じた。
思わず見惚れていた僕は、我に返り窓側の席に座った。
しばらくすると注文表を持ったあなたが僕の座る席に来て、微笑みながら流暢な日本語で「ご注文は何に致しますか?」と尋ねてきた。
一瞬驚き、「日本語上手ですね」と言ってしまった。
心の声が思わず漏れてしまい、羽織っているトレンチコートを越えて胸の高鳴りが聞こえてしまいそうだった。
「日本が好きで日本語の勉強をしているんです。キャリーバッグを持っていたから、もしかしたら外国の方なのかなって思って。日本の方ではなかったらごめんなさい。」と言われ、「いいえ。僕は日本人です。光州を旅行していたのです。」と返した。
「日本から遥々よく来てくれました。楽しんでいって下さい」と言われ、「ありがとうございます。あの、注文なのですけど、珈琲1つ下さい」と言った。
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