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運ばれてきた珈琲は今まで飲んだどの飲み物よりも美味しくて、温もりを感じた。
時間も経ち、予約していたホテルのチェックインの時間が近づいてきた。
もうこんな出逢いはこれから先一生ないのだろうと思いながら、あなたに「ありがとうございます。とても美味しかったです。」とお礼を言った。
あなたは「ありがとう。また来てください。待っています。」と言った。
胸が高鳴って、そして少しだけ苦しくなった。
カフェを出てホテルに向かっていたらホテルから電話がかかってきた。
ホテル側でトラブルが発生したため今夜の宿泊は出来ないという連絡だった。
呆れて返す言葉もなく、途方に暮れていた僕は溜息をし、夜の光州を行くあてもなく歩いた。
しかし歩き疲れでもう体力もあまり残ってなく、近くにあったベンチに腰掛けた。
「今夜はここで寝よう。」そう呟き、諦めて目を閉じようとした時、「どうしたの、大丈夫ですか?」と聞き覚えのある透き通った声が聞こえた。
びっくりして目を開けるとそこにはあなたがいた。
「予約していたホテルにトラブルがあったみたいで…、キャンセルをされました。」
「今夜はどうするんですか?」
「もう疲れて他のホテルを探す気力もなくて…、今夜はここで寝ます。」と言ったら、あなたが「ここは寒い。是非僕の家に泊まってください」と言った。
本当に申し訳なかったのだが、あなたの優しい目に惹かれ、甘えてみることにした。
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