Ⅰ.運命

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季節は秋だったから2人で紅葉を見に出掛けた。 赤や黄、橙と見事に紅葉が咲き誇っていた。 ハヌルは人目を気にせずに手を繋いできた。 僕は恥ずかしかったが、ハヌルの手が優しくて、温かくて、恥ずかしさなどどうでもよくなりハヌルの手を握り返した。 「セイは普段は何をしている人なの?」 「僕は日本で幼稚園の先生をしているよ。旅行が好きで色々な国を旅するのが好きなんだ。」 「セイは幼稚園の先生なんだね。セイは愛嬌があって可愛いから子供達から好かれるだろうね。」と笑いながら言ってきた。 僕は笑い返した。 「ハヌルは普段昨日いたカフェで働いているの?」 「あのカフェはバイトだよ。僕は普段美大生なんだ。絵を描くのが好きでそれを仕事にしたい。」 「そうなんだ。素敵な夢だね。ハヌルが描いた絵、見てみたいなぁ。」 「あ、そうだ!僕の通ってる大学のアトリエにおいでよ!僕の描いた絵を見せてあげる。」 そう言うとハヌルは通っている大学のアトリエに案内してくれた。 アトリエは広くて、学生達の作りかけの作品や、座って作品作りをするための椅子やソファー、テーブルなどが無造作に置かれていた。天井はガラス張りで木漏れ日が射し込んでいた。 アトリエの正面には一際目立つ、水彩画で描かれたであろう大きな青空の絵が飾られていた。 「綺麗な青空…。」 あまりの美しさに見惚れていると、ハヌルが「それは僕が描いたんだよ。まだ下手だけどいつか一人前の画家になるんだ。」と言った。 その絵があまりにも美しく、僕は感動して気が付けば涙が出ていた。 「どうして泣いているの?僕の絵がそんなに下手だった?」とハヌルが笑いながら聞いてきた。 「下手なんかじゃない。すごく、感動して…。綺麗な青空だよハヌル。」 「感動して泣いてくれたの?嬉しいよセイ。ありがとう。」と言いハグをしてくれた。
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