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「エル、今年のプレゼントだ」
俺はそう言い、互いにクリスマスプレゼントを交換した。
エルからは年代物の木製の小箱をくれたので、それを少し振ると、金属のぶつかり合う音が聞こえた。
おそらく向こうからは色とりどりの指輪だろう。
俺は床に置いた大型の箱をエルに渡した。ちゃんと赤いリボンをつけ、クリスマスラッピングをほどこしてある。
プレゼントを開けたエルが、不思議そうにたずねてきた。
「ザヴィ、ありがとう。ところでこの機械は何?」
「発電機」
「……ザヴィのプレゼントって、ロマンチックに欠けるよね…」
俺はむっとした。せっかく電気屋で頑張って選んだのに!?
「何だよ、実用的なのが一番いいと思って、一生懸命に考えたんだぞ? これを設置すればテレビも観れるし、電気の明かりで暮らせるし、水道だって井戸からくみ上げなくていいんだから。もし俺がこの城に住むとしたら、電気は必須だ」
「ふふ。ありがとう、ザヴィ」
エルが可愛らしく微笑むと、俺の頬に軽いキスをした。
「さて、今年の動物の生き血だ」
俺は担いできた袋の中の動物を出し、喉をナイフで素早く切る。
流れ出る血を、ワイングラスにそそいでエルに手渡した。
「大創造主に乾杯。メリークリスマス」
「大創造主に。メリークリスマス!」
二人でワイングラスを傾け、きゅううっと一気に飲んだ。
そのあとすぐに、エルが感嘆のため息を漏らした。
「ぷは、やっぱり絞りたての生き血はうまい! どこのものだい?」
「バルト海のラッコ」
「どうりでジャイアントケルプの風味がしたよ…」
うっとりとエルがつぶやく。頬をわずかに上気させ、幸せそうだ。
クリスマスに俺が生きた動物を持ってくるのは、毎年の行事になってしまった。
こいつが「クリスマスには生き血が飲みたい」と言うので、カピバラを嫌がらせで持ってきたのが最初だが、エルは手を叩いて喜んだのだ。
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