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ラッコの生き血を飲み終えた俺たちは、部屋の窓辺に二人で座って、夜空を眺めていた。
床に置いてある発電機を見て、エルが小さく笑った。
「『俺が暮らすなら発電機がいる』っていうことは、ザヴィもこの城で暮らすってことでいいよね? そのための発電機プレゼントだよね?」
「ええ?!」
「いいじゃん。僕と一緒に暮らそうよ。この城でひとりなんて、僕、淋しいよ」
いやしかし、と俺が反論する前に、そっと近づいてきたエルの唇が、こちらの口を塞いだ。
「ん…」
そのまま、二人で長くキスをする。唇を離したとき、エルの頬はやや上気していた。
片膝をつき、こっちを見つめてくる彼が、やけに色っぽい。
「ザヴィ、今夜は君が欲しい…」
手を伸ばし、俺の首筋にすがりついてくる。
うるんだ瞳で熱っぽくささやかれ、俺は胸が高鳴った。
あれ?
こいつのことは、ずっとガキだガキだと思ってたけど。
何か今夜のこいつは、とっても可愛いよな?
俺の気のせいか?
エルの熱に誘われるように、ついに俺がエルを抱きしめ、もう一度キスしようとしたときだ。
ふと視線を感じて、背後を振り向くと、枯れ木のような爺さんがこっちを見ていた。
うわ、大創造主が、棺を開けて起きていやがった!
寝てたんじゃなかったのか!?
棺から半身を起こした爺さんは、笑って俺に手を振った。
「わしにかまわず、続けろ、続けろ」
続けられるかっつーの!
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