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異世界転生?
久しぶりに行った学校は、真衣にとってある意味異世界だった。
「あーあ、疲れちゃったなぁ。」
こんな時にはいつも真衣は蛇尾川に来る。見渡す限り水無川のこの川は、白い石の川みたいで、なんだか不思議な感じだ。そしてこの景色の先に見える山々を見ていると、なんだか少しホッとする。一年前に東京から引っ越してきて、すぐに気に入った場所だ。
学校の友達に言っても、誰も賛成してくれないけど…。でもそんなことどうでもいい。わたしは気に入っているんだし。
ボーっと遠くを見ていたら、何かがキラッと光った気がした。
眩しくて目を閉じると、なんだか足が冷たい。慌てて目を開けると、水無川のはずの蛇尾川に水が流れている。
えっ、何これ?初めて見た。本当に水が流れることがあるんだ。ちょっと感動した。と思って周りを見渡すと誰もいない。というかもう夕方?わたしが学校を出たのって昼だよ。
それはさておき、水が流れていない所まで移動しよう。水が増えたら大変だ、と思っていると、あっという間に水はなくなってしまった。濡れたはずの靴も全く濡れていない。
とりあえず家に帰ろう。道に出てみると、いつもの道と違う。景色も何やらのどかなような…。
「おい、真衣。いつまで待たせる気だ。帰るぞ!」
振り返ると、見知らぬ男が立っていた。一体誰?全く見当もつかない。でも、すごくカッコいい。
大学生かな?髪はサラサラ風に揺れていて、肌は透き通るようになめらか。スッキリとした目元には頭の良さがにじみ出ている。そして服装はなぜか、スーツ。しかも何やら古めかしいスーツだ。もしかして、貴族?なんてね。コスプレかな?平日の田舎でコスプレしているのなら、大した度胸の持主である。
「いつまでボンヤリしているんだ。帰るぞ。」
「知らない人にはついていけません。」
「はあっ?お前頭大丈夫なのか?婚約者のことを知らない人とか、よく言えるな。」
「えーっ!どういうこと???」
昼だったのが、
あっという間に夕方になっていて、水無川の蛇尾川に水が流れて、濡れたはずの靴が乾いていて、知らない男が馴れ馴れしくわたしの名前を呼び自分のことを婚約者だと名乗った。わたしの思考回路はパンクしてしまった。その結果どうやら意識を失ったらしい。目が覚めたら、わたしはベッドに寝かされていた。
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