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晩餐会
今までのことを整理すると、わたしはどうやら今までいた所とは違う場所、いわゆる異世界に来てしまったらしい。
にわかには信じがたいが、信じなくても目の前の現実は変わらない。
わたしの短所は流されやすいことだが、それはまた長所でもある。
それなら、この状況に流されてしまえ。
婚約者に関しては、どうしたらいいのか戸惑うばかりだが、この素敵な洋館の暮らしは面白そうだ。しばらくの間楽しんでみるのも悪くないかも?
そうと決まれば、まずは情報収集だ。さっき、英臣が晩餐会とかいってなかったっけ?
わたしはベッドから起き上がると、ハナに言った。
「身支度をしたいの。」
ハナは嬉しそうだ。衣装部屋から一枚のドレスを出してきた。少しくすんだピンクのレースのドレスだ。所々ピンクの真珠が縫い止めてある。レースが花の模様になっているところもあって、とってもかわいい。
「真衣さまは肌の色が白いので、かえってこういう色のドレスを着ると、その白さが際立つんです。」
ハナは張り切っている。
髪飾り、ネックレス、イヤリングはみんなピンクの真珠だ。ドレスに縫い止めてある真珠と同じに見える。
まさかこのドレスのためのジュエリーなのかな?もしそうならなんて贅沢なの。
身支度を終え、部屋を出ると、下の階から楽しげな音楽が聞こえてきた。
晩餐会ってどんな感じなのかな?
扉を開けて中に入ろうとまわりを見渡すと、席についていた人々が一斉にわたしの方を、見た。
そして、みんなが息をのむのを感じた。
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