あっちの世界のわたし

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あっちの世界のわたし

あっちの世界では、わたしは高校生だった。と言ってもほとんど学校には行けていない。いわゆる不登校だ。 きっかけはなんだっだか、よく分からない。なんだか体がだるくて朝起きられなくて、休みの日が続くとそのまま不登校になっていた。 不登校のつもりはなかった。ただ体調が悪かっただけだ。良くなれば行ける、行けるはずだったのに気がついたら不登校ってことになってた。 顔がかわいすぎるから、いじめられて不登校になった、って思っている人も多いらしい。でもそれはデマだ。 家族は心配してたけど、わたしを信じて待っていてくれた。学校に行かなくても家族のあたたかさが私を守ってくれた。まるであたたかいシェルターのように。 悲しいことは続くものだ。わたしが駄々をこねて、行かなかった旅行先でわたし以外の家族はみんな死んだ。電車の脱線事故だ。今時、脱線事故で死ぬなんて、すごく珍しい。でもそんな珍しいことが、起こってしまうのが人生だ。でもわたしはまだ中学生だった。あまりにもつらすぎて、学校にますます行けなくなった。 そんな時親身になってくれたのが担任の先生だ。毎日学校帰りに寄ってくれる先生にほだされるような気持ちで、久しぶりに学校に行ってみると、もうそこにはわたしの居場所はなくなっていた。 久しぶりに教室に入っていった、わたしの顔を、まるで死んだはずの人に会ったような表情でみていた。今思うと、今日の夜の晩餐会のお客さんの反応と似ている。てことは、学校でのわたしってみんなの意識の中では死んでたんだね。 その時、みんなの視線があまりにもつらすぎて、わたしは教室を飛び出した。そして蛇尾川に行ったのだ。心に元気をチャージするために。 わたしは次の日から、親のいない子どもが集団生活する施設に入ることになっていた。ひとりぼっちで縁もゆかりもない施設に行くなんて嫌だ。 でも、いくら嫌でも子どもであるわたしにはどうすることもできない。 諦めの気持ちがやりきれなくて、蛇尾川でボンヤリしていたんだ。
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