story1

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私が生まれた年は、2000年の梅雨。 ミレニアムベビーだった。 記憶がない私は、その日に雨が降っていたのか、朝なのか夜なのか知らない。 加え、父がその場にいたのか、母は私をどのように思ったのか、 2人は私を愛しいと感じてくれたのかさえ…わからない。 それでも、何も知らない何も感じない私は幸せ者だった。 きっとその瞬間は、私は世界一幸せだったに違いない。 知らないことは罪であるとともに、すごく美しいものだと今は思う。 いくら、どんなことが未来に明かされようと関係ないのだから。 知るということは、染まるということ。 染まるということは、ある意味汚れるということ。 0歳の私が約13年後、 その美しさに嫉妬し 憎悪を抱き 嫌い 泣くなど考えもしなかっただろう。 2000年の梅雨。 最悪の私が祝福とともに生まれた。 おめでとう。
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