story2

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ここからは記憶と思い出と共に語りましょう。 幼少期の記憶と言われ、思いつくものは何ですか? 家族旅行?初めて自転車に乗ったこと?クリスマス? 私の幼少期の記憶と言われて1番に出てくるのは、 熱を出してテレビをみていたこと。 1人でテレビの前に寝かされて、寝ていた記憶。 座るのもやっとの熱の中、母が私の頭を撫でて言った。 「寝ててね。」 そう言って、カチャンと閉まる鍵の音が玄関から聞こえた。 寒いか暑いかわからなくて、ただ重い体に耐えきれずいつの間にか眠っていた。 ただ、背中が寒いとだけ感じていた。 それでも幸せだったのだ。 起きると母は帰ってきていて、父はコンビニで三色団子を買ってきてくれた。 それがすごくすごく、嬉しかった。 袋から私のために買ってくれたそれが、宝石を貰ったように大切だった。 大切だった。
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