秋哉 四回目の――

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春一はいきなり、 「カズエさんにプロポーズするんだろう」 「えっ!」 秋哉は絶句する。 「な、なんで、それ……」 声を失う秋哉に、 「見てればわかるさ。本来なら、帰ってくる前にプロポーズして、みんなにお披露目ってつもりだったんだろうけど、うまくいかなかったようだな」 春一はクスクス笑うが、笑い事じゃない。 春一の言うとおり、カズエをプロポーズの予定のレストランに意気込んで誘ったら、 「何いってんの? 鈴音さんが家でご飯作って待ってるんでしょ」 断られた。 まさかの、プロポーズする以前の問題だ。 秋哉の計画はすべて台無し。 こんなことなら、レストランの予約を、サプライズでなんかするんじゃなかった。 最初からちゃんと、スケジュールを話しておけばよかった。 「間が悪いのは、俺に似たんだ秋哉」 春一が秋哉の肩を叩きながら言う。 「俺もなかなか鈴音にプロポーズ出来なくて、夏樹に散々マヌケ呼ばわりされたからな」 「……」 慰めになっていない。 でも、 「潤を寝かせるために、みんな一旦部屋に下がるから、その時がんばれ。で、新年のあいさつで嬉しい報告を聞かせてくれればいい」 「……みんなで、行く年来る年見るんじゃねーのかよ」 来生家の年越しはいつもそうだった。 しかし春一は、 「今夜は、俺も鈴音も、早めに部屋に引っ込むよ。年が明けるまで、ひと寝入りするって言ってな」 それからチラと、潤とじゃれ合っている夏樹を振り返って、 「夏樹のことは潤が離さない。夏樹がこの家に泊まる夜はいつも一緒に寝てるからな」 心底気に食わない顔で言った。
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