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「まったく誰に似たんだろうな。あの頑固なところ」
リビングに出てきたサンタクロースは、邪魔くさそうにヒゲと帽子をとりながら言う。
そのヒゲの下から現れたのは、
「まあ、春だろうけどな」
夏樹だ。
鈴音はそんな夏樹の顔を見て小さく笑って、
「ありがとうね夏樹」
乱暴に外したせいか、顔に数本、白いものが残っている。
「潤もとっても喜んでたわ。念願のサンタさんに会えて」
イケメンが台無しだと、頬をチョンチョンと指さして教えてやった。
夏樹は手のひらで頬を乱暴になで上げ、そこについたヒゲの名残に心底嫌そうな顔をする。
チッと舌打ちして、
「春も春だぜ。夕べちゃんと早く帰ってくれば、潤だって風邪をひかずにすんだんだ」
「仕方ないよ。仕事なんだから」
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