秋哉 四回目の――

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1月3日。 翌日から勤務が始まってしまう秋哉は、渋々といった顔でブーツに足を入れている。 でも(かかと)を入れきる前に、 「なぁ、やっぱり有休申請するから、もうちょっと具体的な話」 顔をあげて未練たらしく言いつのるが、 「なにバカなこと言ってんの。アキの仕事は国防なんだよ。こんな私事(わたくしごと)でいちいち休んでどーするの」 カズエに尻を叩かれてしまう。 思わずバランスを崩して、そのままケンケンと前に出た。 「あっぶねーな」 何とか体勢を立て直して愚痴ると、 「だいたいアキは大騒ぎしすぎなのよ」 カズエは腰に手を当て、まったく仕方がない、という感じで言い捨てる。 「ホント恥ずかしいったら」 実はプロポーズをOKしてもらったとたん、秋哉は飛び上がって喜んで、そのままの勢いで春一の部屋のドア押し開けた。 もちろんノックもなしにだ。 「聞いてくれ。カズがプロポーズOKしてくれた!」 高らかに宣言したわけだが、当然、春一の部屋には鈴音がいる。 秋哉の突撃に、ふたりはベッドから転がり落ちるほど驚いて、 「――」 春一は慌てふためいて服を探し始めるし、鈴音なんて毛布を頭からかぶって丸まってしまった。 ケンケンしながらズボンを履く春一に、 「ハル、オレはカズと結婚するからな」 秋哉はまったく気づく様子もなく、嬉々として報告している。 「……」 なぜ、この空気に気づかないのだろう。 離れて見ているカズエだって、いたたまれなさすぎて、顔もあげられない。 一体、どのタイミングで踏み込んでしまったと思っているのか。 それでも秋哉はまったく気にしないで、興奮した調子で春一に、 「やったよオレ。マジでホッとした」 話し続けている。 春一は苦笑いで済ませてくれたが、この恐るべき秋哉のデリカシーのなさには、もう呆れかえってしまった。 お陰でカズエの方は、すっかりご立腹なわけだ。
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