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驚いて足を止める鈴音の足元に、ポンポンと一個のサッカーボールが転がっていく。
そして、
「すんませんでした、会長ー」
焦った様子で駆けてくる男子生徒。
どうやらボールが鈴音にぶつかりそうになったのを、目の前に飛び込んできたこの人が助けてくれたらしい。
そして彼は、
『会長?』
見上げると、大きな背中の上にすっきりと短い黒髪が見えた。
教頭は、
「コラッ、気をつけなさい」
ボールを蹴った生徒を一喝して、
「すまないね生徒会長」
と彼のことを呼ぶ。
「いえ、間に合って良かったです」
生徒会長は、教頭にも負けない落ち着いた態度でしゃべっている。
それから鈴音にも、
「怪我はない?」
と振り返ってくれたが、鈴音は思わず見惚れてしまった。
彼は、これまで鈴音が会ったのことないくらいのイケメン。
爽やかな短髪に、映画俳優みたいに整った顔。
『こんな人、本当に存在するんだ』
驚きの方が先に出てしまう。
するとポーッとする鈴音に、教頭はコホンとひとつ咳払いをして、
「ちょうどいいから紹介しておこう。彼女は二学期から一年生に転校してくる雨山鈴音さんだ。
雨山さん、彼はこの学校の生徒会長、三年の来生春一くん――」
そこまで聞いたところで鈴音の目の前が真っ暗になった。
「うわっ!」
イケメンがびっくり顔をしたが、その時にはもう、鈴音は意識を手放していた。
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