IF 鈴音が兄弟たちと同じ高校だったら

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この学校には学食もあって、弁当を持ってこない生徒はそちらを利用するので、昼休みの机は使い放題である。 女子たちは適当にその辺の机を集めて、鈴音の周りに島を作り、思い思いに座った。 「いいなぁ。ずっと購買しか無かったから学食って憧れてたの」 鈴音が言うと、 「安くて多いのが取り柄なだけで、あんまり美味しくないのよー」 「でも興味あるなら、今度行ってみようか」 女子たちはキャラキャラ笑う。 転校初日から、こうやって温かく仲間に入れてもらえて、鈴音はホッと息をついた。 もともと社交的な性格とは言いがたいから、相手から話しかけてもらえると、本当に助かる。 みんな明るく、それに何より可愛らしい。 校則があまり厳しくないのか、ブラウスの胸元に結んでいるリボンは色とりどりだし、それによく見ると、みんなうっすら化粧もしているようで……。 しかもけして派手なわけではなく、上品なお嬢様メイクだ。 とても綺麗。 都会の学校では、こういうのが流行ってるのだろうか。 鈴音は、 「えーと、みんなその親切だし、それに可愛いよね」 おずおずと言ってみた。 「すごい。垢抜けてるっていうか、本当にすごく可愛い」 するとみんなは、 「やーだ、雨山さんたら!」 鈴音の肩をパシパシ叩きながら、それでも満更でもないと笑う。 そして、 「それって生徒会長のせいかも」 「生徒会長?」 「そう。ウチの生徒会長って、ものすごくイケメンなの。それだけじゃなく親切で優しいしね」 「うん。スポーツも勉強も出来るパーフェクトな人よ。それに一年生にも気さくに声かけてくれる人だから、みんなワンチャンあるんじゃないかと思って、一生懸命なのよ」
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