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みんな口を揃えてべた褒めだ。
鈴音は、
「へぇぇぇぇ」
心底、感心した。
ここまで手放しで褒められているのだから、本当に人格者なのだろう。
かなり人気者。
叶うなら一度お目にかかってみたいと思う。
でもまあ、転校してきたばかりの一年生と全校生徒が憧れている生徒会長なんて、接点があるわけもなく。
それに――。
鈴音は昼休みになるなり椅子を立って消えてしまった、例の赤い髪の男の席をチラリと見る。
性格には難ありだが、彼も容姿の方は、かなり優れている分類に入るのではないのだろうか。
その割には、彼の話題はまったく出ないな、と不思議に思って、
「ねぇ、もしかして、この学校ってイケメンが多いの?」
すると鈴音の視線のワケを察した女子は、
「あー」
どこか気抜けした声を出す。
「来生くんは、そりゃあ、ねぇ……」
これで彼の名前が『来生』だということが再確認できたわけだが、でも、どこかで聞いたことがあると思うのは気のせいか?
確かにちょっと珍しい名前だが、ぜんぜん無いというわけではないし、とぼんやり考えていると、
「弟、だからねぇ」
「弟?」
「うん、来生夏樹は生徒会長、来生春一さんの弟なのよ」
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