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気がきかないサンタクロース
潤が眠る部屋から、そっと出てきたのは、赤い服を着たサンタクロースだ。
サンタが音を忍ばせてドアを閉める様子に、鈴音も声を潜めて、
「潤ってば寝ちゃったの?」
「ああ」
サンタはうなずきながら、
「熱もだいぶ下がってきた。ずいぶん楽そうだ」
「……そう、良かった」
鈴音は安心したようにホッと息をつく。
今年5歳の潤は、幼稚園でサンタクロースの話を聞いてきた。
そして、
「ぜったいサンタさんにあうの」
と言い張り、昨日のクリスマスイブの夜、寝なさいと言われても寝なかった。
そのせいで、今朝から発熱だ。
布団の中にぬいぐるみを入れて、自分はクローゼットの中に隠れていたというから、風邪をひいたのだろう。
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