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「そうそう…あの芸人芸風は昭和の漫才だけど見た目がビジュアル系バンドみたいに派手だからギャップが凄いよな!多分来年辺りに売れだしていくと思うよ」
「確かに実際漫才もウケてるしそうだろうな」
「ってかもうそろそろ俺の話聞いてくんね?もう10分以上もお前の話聞いてんだけど一応相談っていう事で一番信頼してる健太に話そうと電話したのにいつの間にか芸人の話になってるんだけど」
「あぁごめんつい面白かったからさ。で相談って何?」
「相談っていってもそんなに重くはない話なんだけど俺いつも仕事場向かうためにバス乗るんだけどさそのバス乗ると最近必ずって言っていいほどある乗客が乗ってくるんだよ。しかもその客がさ、わざわざだよ?わざわざバス後方の二人席の方に座ってる俺の隣に座ってくるんだよ?席他にも空いてるのに。」
「へぇ〜そうなんだ。ん?ちょっと聞きたいことがあるんだけど?」
「何?なんか気になることあった?」
「二つ疑問点浮かんだけどまずその一つね言うね?なんで篤史もさバス席空いてるならわざわざ後ろの二人がけの席に座る訳?」
「あぁ確かにそこは説明してなかったわ。いや俺も本当なら後ろの席なんて座りたくないよ?知らないやつが隣に座るんだから当然一人がけの席に座りたいよ。でも俺の仕事場まで大体バス15分くらい掛かるんだけどその道中の止まる止まるバス停でどんどん当たり前だけど乗客が乗ってくるのね?それでもうバスの中は客でパンパンになるわけよ。しかも乗ってくる乗客の約9割くらいは高齢者だからそうなると一人がけに座ってる人はその乗ってきた高齢者に席譲らないといけないわけでしょ?でも俺はそれがいちいち立ち上がって高齢者に声をかけるのが面倒だからそれならまだ二人がけの席に座っとけば席譲る必要なくて楽だから二人がけの席に座ってるって訳よ」
「お前考え方ひねくれてるぞ。まぁいいや2つ目の質問。なんでそこまで篤史は隣に座ってくるいつもの乗客を気にするの?もしかして…女性だから?気になってるの?」
「いや、俺の立場になってみ?ここ最近仕事場に向かうたびに座られるんだぜ?流石に怖いだろ。しかもさ座ってくんの女性じゃなくて男だよ男。それにどっかで見たことある気がするんだよその男が」
「えっ?それマジなのかよ本当か?」
「何?いきなりグイグイ聞いてきて」
「あ…違う違うなんでもない。ど…どんな顔してたの?」
「えー…とね目はタレ目で鼻はくっきりと骨の形が出ててこんなこと言いたくないけどキレイな感じだね。あと毎回黒いニット帽着けてくるから髪型は分からないな。眉毛は確か薄かくてキリッとした印象だったかな?口元はこれもまた紺のマフラーで毎回誤魔化してるから分からないね。あっ…ちなみに体型は痩せ型。そんなほぼ隠された容姿でもどっか見たような感じがするんだよな。思い出せないんだけどね」
「なるほどね…まぁニット帽とマフラーは自然かもね11月後半だし。」
「そう通りだけど俺そこまでニット帽とマフラーに関して気にしてないよ?」
「あっ…そうだよなごめんごめん」
「それでどうした方がいいと思う?コイツ?一応俺が降りるバス停の二個ぐらい前のバス停でコイツ降りてくれるからわざわざ声かけなくて済むし一応俺に危害はくわえてくる様子も今のところないし。ほっとけって言われたらそれまでだしさ、でもこのモヤっとした感じいつまでも心のどこかに置いとくの嫌だからさ?お前ならどうする?」
「(まずいどう答えるのが正解だ?ほっとけって言うのが今一番いいとは思うけど篤史、勘が鋭くなってるからこの答えで大丈夫か?イケるか。でもこれ以上長電話すると俺が犯人ってバレるのも時間の問題だ。これ答えたら早めに切り上げよう。)何も危害無いならほっとくのが今は一番だと思うからほっといた方がいいと思う」
「うーんまぁそうなんだけど…腑に落ちないんだよな。」
「ちょっと…ゴメン、俺今日これから用事あって家出ないといけないから電話切るよ」
「あっ、そうなの?」
「うんちょっと…会…あー…うん用事がね」
「分かった用事ならしゃあないな。このまま会って久しぶりに呑みたかったけどな!」
「(この野郎なかなか電話切らない)あっそうなんだーそれもまた今度だなじゃあまた」
「おっ…おう!またな!」
ブチッ!篤史の最後の声を聴いてから電話をすぐに切った。
「ハァ」篤史への憎しみのため息が勝手に口から漏れるように出た。
もう早めに実行しなきゃ無理か。
高校時代の篤史より今の篤史の方が確実に勘が良くなってるな。いくらニットとマフラーで俺の特徴である天然うねりパーマとたらこ唇を隠しても雰囲気でバレるな。
なんせもう眉毛の形まで見られてる訳だからな。
篤史には申し訳ないけど明日がアイツの命日になる。
全て俺は間違ってない。俺は捕まる覚悟は出来てる。俺は篤史の腹にナイフを刺せればそれで十分。
こうなったのも全て…篤史。
翌日
トレンド入り
「埼玉バス襲撃未遂」
このことに対する世間の皆様の反応
「怖っ!このバス私よく乗るから余計にゾッとした」匿名14
「うわ、今日このバス俺乗ってデパート行ったから下手すりゃ事件現場目撃してたかも」匿名55
「コイツこれやる前にも前科あったんだろ?痴漢だっけ?なんだっけか?」匿名77
「匿名77さんへ 確か女子高生の跡つけて人気が無くなった道に入った途端にその女子高生を後ろから抱いたあげく胸揉みまくってその場から逃走したよコイツ」匿名100
「大胆すぎるやろw」匿名166
「ニュースにならんかったん?その時は?」匿名180
「確かにコイツにこんな前科あるの知らんかったな」匿名184
「いや、俺の住んでるの地域では流れてたよ。その時犯人の名前は出して無かったからそれで皆知らなかったんじゃない?」匿名188
「ふーんそーなんだ」匿名190
「速報 速報 犯人の詳細判明、本名、齋藤明職業タクシー運転手、犯行動機は友達が輝いて見えて悔しくてやったとのこと。」匿名194
「悔しくてやった、って自分が撒いた種なのにw」匿名196
「ニュースで流れたね。その友達もびっくりだな。とんだ腹いせで殺されかけたんだもんな」匿名197
「ムショから出たら絶縁するな。俺がその友達の立場なら」匿名201
「てかこの事件起こさせなかった警察の洞察力凄いな。でも職質の最中で勝手に犯人が自供したってwこんなこと言いたく無いけどやるなら最後まで貫けよw」匿名207
「齋藤明。もう普通の人間には戻れないね。外に出ても近いうちにまた誰かに迷惑かけるよ。最悪誰かを殺す危険もある。その危険ある以上明は一生刑務所のなかで過ごした方がいい。はぁはっきり言うのはキツイけど明もういっそのこと死んでくれ。というか死んで当然な人間になってしまったな。だから刑務所から出たら俺がトドメさしてやるからな。世の中はお前が死ぬことを望んでるんだ。だから必ず行くからな」あなたに殺される予定だったかつての友達 永山篤史より
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