エピローグ

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「おっ、忘れなかったか。俺たちを繋ぐ宝物だからな。  でも、お前は叶えたい願いがまだ見つからないのかよ」 「うん、取っておいてるんだ。保険みたいなものかな」  俊介は回転木馬を飾るのと入れ替わりに、テーブル上に散らばるのし袋を片づける。  ふと、のし袋に書かれていた更木の名前に目が止まった。 『粗品  更木(さらき) 慧流(える)』  読んでつい、ぷっと吹き出した。 「更木先生って、ラノベの主人公みたいな名前してるんですね。やけに高貴な感じでギャップありすぎですよ」 「ほぅ、お前は人を見る目がないな。俺は昔、それはそれは高貴な存在だったんだぞ」 「まっさかぁ~」  俊介は容赦なく笑い飛ばした。  そのとき、再び呼び鈴が鳴る。 「「「やっときた!」」」  皆、表情がいっぺんに明るくなり、俊介は早足で玄関へと向かう。  扉を開くとそこに立っていたのはいくぶん小柄な、可愛らしい女性だった。今は名字が「風間」になったが、かつては「鳥海」だった、俊介の幼馴染だ。  ふぅ、とため息をつき、顔はうっすらと汗ばんでいる。  なぜならだいぶ重くなった子供を抱きかかえて階段を昇ってきたからだ。髪を片方で結いた、綾に似た女の子だ。 「お待たせ、えんじゅがおもぉ~い!」  えんじゅと名づけられた子は、俊介の姿に気づくと手足をじたばたさせる。綾は子供を俊介に手渡した。 「綾、おつかれさん。えんじゅちゃーん、あいたかったよー!」 「パパ、あいたかったよー、だいすき」  俊介は懐く娘に表情筋が緩みまくりだ。 「実習が遅くなっちゃってさ。託児所も混んでいたし」  
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