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突然、テレビから派手な歓声が湧き起こった。見ると人気のアーティストが登場したところだった。
「ラストプラネット」という、ゲリラライブで噂になり人気を博した四人構成のバンドグループだ。
弥生が爛々とした瞳で画面を見つめていう。
「わぁ、私、昔からこのバンドのファンなの。一度くらいゲリラライブに遭遇してみたかったわぁ」
そして軽快なドラムとギターの音に乗せて歌が流れ始める。曲は「時空ファンタジア」だ。
『You have just gone!
でも忘れるな、奇跡はお前を待っているWOWWOW!
さあ、天使の羽根を焼き尽くせYEAH!
お前を縛る深紅の鎖なんて、その手でその心で断ち切ってしまえ!
I will send you my ”NEVER ENDING”……Uh……』
倫太郎は好みではないのか、半ば呆れたように肩をすくめる。
「ははっ、ノリはいいが歌詞の意味はさっぱりだな」
「私と倫太郎は趣味違うでしょ。この歌詞、なんか深い意味ありそうじゃない」
弥生が不満をあらわにして頬を膨らませると、二人の会話に割り入ったのは更木だった。
「いや、この歌すげえな。俺は鳥肌もんだぜ! えんじゅは共感度マックスだろ?」
「「「「なんでっ!?」」」」
その場にいた皆は同時に突っ込んだ。
すると、えんじゅは困惑した表情をして、自分の頬を指先でちょいちょいと掻いた。
「そっか、お前だけは同意してくれるか」
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