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アナコンダは、森の広場に動物たちを集めて言った。
「僕はマフラーです。
ジャングルのうだるような暑さも、僕を首に巻けばアラ不思議…快適な夏が過ごせます」
動物たちは閉口した。アナコンダが何を考えているのかは、どんな頭の悪い動物もすぐに察しが付く。
「さあて、今日は誰のマフラーになろうかな~?」
アナコンダはニヤニヤ笑いをしながら、動物たちの顔を眺めた。その目はまさに獲物を探す肉食獣のものだ。
「ライオン、君なんてどうかな?」
「いらん。我にはたてがみがあるからな」
「ウサギは?」
「必要ないね。耳を巻きつければいい」
「ゾウは?」
「鼻があれば十分」
アナコンダが次に目を合わせたのはジャッカルだった。彼なら体も大きくないし飲み込むにはうってつけだ。
「ジャッカル君は?」
ジャッカルは笑いながら答えた。
「そんなことより、ワニの旦那が、お前の奥さんに仕返しするとか言ってたぜ」
アナコンダにとってワニは天敵だ。生活する場所も近いため、いさかいが起こることもしばしば。彼は「なに!?」というと、すぐに塒のある河辺へと戻っていった。
そのやり取りを見ていたライオンは心配そうに言った。
「ジャッカル、そんなことをばらしたらワニから恨まれるんじゃないか?」
ジャッカルは不敵に笑って答えた。
「ご安心を。あの入り江に今…害獣駆除の人間の兵士がずらりといます」
その言葉にウサギはきょとんとした。
「ガイジュウクジョブタイって…」
間もなく、銃声がジャングル中に響いた。
何も知らずに入り江に顔を出したアナコンダはもちろん、ここで得意げに笑っていたジャッカルも毛皮になってしまったが、ほかの動物たちは何とか人間の追撃を逃れたという。
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