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大学で同級生の博美と出会い、私の人生は一変した。
博美は、私が母以外では初めて心を許すことが出来た人。
そう、友達 と言える唯一の人。
博美はいつも明るくて、友達もたくさんいる。
いつもオシャレな服を着ている。
講義をよくサボる。
まるで、遊ぶために大学へきているような、私とは全く逆のタイプ。
博美は、講義をサボる度に、私に代返を頼んでくる。
テスト前には毎回決まってノートをコピーさせてと言ってくる。
最初は、利用されているだけだと思っていた。
去年、私の誕生日。
講義開始前にキャンティーンで勉強していたら博美が隣に座った。
また次の講義の代返を頼んでくるのだろうと思った。
しかし、弘美はバッグから何かを取り出して言った。
「これ、いつも世話になってるからそのお礼ね」
渡されたのは、駅前の洋菓子店の紙袋。
中には、一口サイズの小さなケーキが4つ。
驚いた私を、博美はニヤニヤ笑いながら言った。
「ハッピーバースディ。裕子、今日が誕生日って言ってたよね?」
母親以外の人から初めて私は誕生日を祝われた。
祝われて食べるケーキ、こんなに美味しいものがあるなんて知らなかった。
思わず嬉しくて涙がこぼれた私に、博美は盛大に驚いていた。
それ以来、私は弘美と仲良くなった。
そして、博美の紹介で隆司と付き合っている。
今まで、数人の男性に言い寄られたことがある。
私は、親戚に育てられていた時、叔父に過去何度も迫られたことがある。
その影響で、男性が求めてくることに恐怖を感じる。
それを話すと、男性は優しい言葉をかけてくれる。
でも、気を許した途端にすぐに身体を求めてくる。
男性というのはそういう生き物なんだと知った。
それなら、恋愛など一生しないと思っていた。
しかし、隆司は違った。
最初は、博美の紹介だから仕方なく話した。
隆司は、私のことを博美から聞いていたらしく、安易に私の身体を求めてこなかった。
いつも優しくて暖かくて、人から愛されるという喜びを教えてくれた。
お金や時間にルーズでちょっと頼りないけど、私は隆司が大好きだ。
最近は、隆司になら身を委ねたいと思うようになった。
時々、アプローチをかけてみたけど、「無理して焦らなくていいよ」と言ってくれた。
私は、博美と隆司が大好きだ。
いや、大好きだった。
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