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今年の誕生日、博美と隆司が二人でお祝いしてくれることになった。
「ケーキはこっちで買ってくね。裕子の料理美味しいから楽しみ♪」
1か月前、笑顔で博美がそう言った。
3人で集まるときは、いつも私の部屋。
博美はいつも私の料理を喜んで食べてくれる。
今年の誕生日も、すごく楽しみだった。
しかし、誕生日が近づくにつれて、異変を感じた。
学校の後も、休日も、隆司がまったく私と会ってくれなくなった。
大学内では、博美と楽しそうに話している隆司を見かけるが、私が近づくと避けるようにいなくなってしまう。
「気のせいじゃない?」
博美に相談したら、そう言われた。
なんとも軽く受け流すような言葉だった。
楽しみにしていた誕生日当日、今日は土曜日で講義は無い。
2人が私を祝ってくれるパーティの為に、少し高価なワインを買おうとショッピングモールへ行った。
そこで私は見てしまった。
ショッピングモールの広場を、手をつないで仲睦まじそうに歩く、よく知った二人。
博美と隆司。
まるで、雷にでも打たれたようなショックだった。
そして、気の抜けてしまった私は、二人を追うこともできず、何も買わずにショッピングモールを後にした。
家に着くと、私は座り込むと何もする気にならなかった。
ベットに背を持たれて、何もない壁をただボーっと見つめていた。
日が沈み、暗くなっても何もせずただボーっと何もない壁を見つめていた。
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