嘘つき①

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「いーよ。お前が仕事以外に興味持つとか 珍しいしよ。いい傾向だな。 上手くいったら紹介しろよな。」 圭太は勝手に想像したのか 楽しそうにそう言った。 仕事だし。 出来る訳無いけど 紹介したらもっとびっくりする。 でもそう言ったら もっと心配させちゃうからな。。 「うん。わかった。」 素直に返すと 満足げな声音で おう。じゃあまた連絡する!と電話が切れた。 圭太。ごめんね。ともう一度頭の中で謝り 携帯を放り投げる。 ベッドに寄り掛かり 天井を見上げた。 俺って。 嘘だらけだな。。 大事な友達にさえもホントの事を話さない。 ずっとそうやって偽ってきて。 生い立ちも。 想いも何もかも。 固い石の部屋の中で手足を縮こませ 必死に身を守っている。。 はぁ。とまた息を吐き出し 写真を握りしめた。 仕事は。 ちゃんとやらなきゃ。 仕事しか無い。 自分をぶつけられるのは。 どこまでも追ってやる。 この人が一体どんな人なのか。 何をしているのか。 相手はヤクザで。 悪い事をしているなら 必ずこの手で捕まえる。 必ず。 更に強くぎゅっと握りしめてしまい 蛍は慌てて 写真のシワを手の腹で伸ばし始めた。
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