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大会当日☆彡
テコンドーの大会当日。
照彦は、陽太と一緒に、市の体育館まで光の応援に行った。
体育館の中には、白い道着を着た人たちがたくさんいた。
「あれ、選手だね」
と陽太。
「そうだすなー」
と照彦。
「東雲さんは、どこかな?」
「さあー? みんな同じ服装だから、全部同じにしか見えねえ」
照彦の失礼なセリフに対し、陽太は何か言いかけたが、やめて、再び東雲光のことを口にした。
「・・・東雲さんて、ケーキ買いに来た時、二、三回しか見たことないけど、たしか、眼鏡かけて、長い髪を三つ編みのお下げにしてる子だよね?」
「ひょえ~、さっすが、バイトのおかたは記憶力いいねえ! そう、そのとーり!」
などと話していると、背後から「キャ~~~」という黄色い声が降ってきた。
二人が振り向くと、光の応援に来たと思われる彼女の友人たちが、胸の前で手を組んだり、頬に両手を添えたりして、陽太にハート型の視線を送っていた。
数秒後には、陽太は、彼女たちに取り囲まれ、身動きが取れなくなった。
一人残された照彦は、所在なさげにその場に立ち、首をそらして欠伸をし、ぼりぼりと頭をかいた。
その時、体育館の隅から、一人の女性が、照彦に向かってズンズン距離を詰めてきた。
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