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その9 バーネット一味(5)
クオレは、モリトは誠実な男だからと、そんなことは心配していないらしく、外でバーネットたちを見張ると言い出した。バーネットのほうが、よほど気にかかるらしい。
デュマは、ルナの今の心配事も、そしてバーネット一味のことも、どうでもいいらしかった。デュマはおよそ怖いもの知らずで、なにも恐れたりしないのだ。心配だって無論しない。小屋の屋根に這い上がって、居心地のいい寝場所を探している。
小屋の中には、ツルがたくさん置いてあった。加工してロープなんかに使うらしく、部屋の片隅を占領している。
ルナは、それに目を付けると、近くにあった大きな鋏で、ちょきんとツルを適当な長さに切断した。
「なに? なにやってんの?」
無邪気にモリトが尋ねてきた。
ルナは、澄まし顔でモリトに言った。
「これで、あなたの両手を縛るのよ」
「え、どうして?」
「悪戯をするといけませんからね」
ルナは、モリトの両手首を、手錠を掛けられた人よろしくツルでグルグルに縛った。
モリトは、なんだか情けなさそうな顔をして自分の手首を見ていたが、ルナが安心したようにベッドに入るのを見て、「ははあ」と、なにか悟ったらしかった。
そして、クスリと笑いながら、自分ももう片方のベッドに潜りこんだ。
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