62人が本棚に入れています
本棚に追加
「あたし琉磨くんのこと嫌いになんかならないよ?」
「なんでならねーんだよ」
「嫌いじゃないもん」
あたしは琉磨くんが好きなんだから、嫌いになるわけなんてない。
「それじゃダメなんだよ」
「.......なんで?」
「普通より嫌われたほうがお前の頭ん中に残るじゃん」
「.......なにそれ」
大学に入ってからこんなに話しているのははじめてかもしれない。
よく話していた頃から大人びていたけど、さらに大人になった琉磨くんに胸は騒がしくなっている。
「嫌いになってまでも、お前は俺のことだけ見てればいーんだよ」
満足そうに笑う。
そんなふうに笑う琉磨くんを久しぶりにみたような気がする。
「頭ん中、もうずっといっぱいだよ.......」
嫌いって理由じゃないけど、あたしの頭の中は一緒にいた頃も離れてしまったあとも琉磨くんでいっぱいだ。
「.......は?」
「昔っからずっと琉磨くんのことしか考えてないよ」
「昔から嫌いなのか?」
怪訝な顔になる琉磨くん。
「バカ!」
持っていたバッグで琉磨くんを叩く。
「おい、叩くなよ」
叩きつけられたバッグを受け止めて抑える。
最初のコメントを投稿しよう!