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「.......なんだお前かよ」
琉磨くんは思った通りの中庭のベンチにいて、すぐに見つけることは簡単だった。
中庭のドアを開ける音にこちらを見た琉磨くんと一瞬目が合ったけど、すぐに逸らされてしまった。
「冬也先輩が琉磨くんを連れてこいって」
「行くわけないだろ」
あたしの言葉に不機嫌そうに答える。
「なんでそんなにそんなにサボるの!?」
「.......お前には関係ないだろ」
冷たい視線があたしに注がれる。
「そろそろ連れてこいって言われたから」
「仕方なくって?」
琉磨くんがふっと笑う。
「.......仕方なくっていうか」
「お前なんか見たくないんだよ。失せろ」
感情のこもってないような声で言われる。
いつからこんな冷たい関係になってしまったのだろう。
少なくとも高校生まではあたしたちは仲が良かったはずなのに。
なぜかはわからないけど、高校を卒業と同時に琉磨くんはあたしから離れていってしまった。
「お願い!あたしのためじゃなくて冬也先輩ために!」
琉磨くんの隣に腰をかける。
「なんだよッ!隣座るなよ!」
あたしが座ったのとほぼ同時くらいにバッと立ち上がる琉磨くん。
そんなあからさまに避けなくてもいいと思うのに、そんな態度にちくんと胸は痛む。
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