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「ちょっとだけでいいから.......」
「お前もいるんだろ」
「え?うん」
「お前がいるから嫌なんだよ」
そのままあたしに背を向けて歩いていく。
──お前がいるから嫌なんだよ
琉磨くんに言われた言葉が頭の中でリピートされる。
あたしが嫌いだから、研究室にずっと来ていなかったのだろうか。
それならなぜ、はじめからあたしと同じ研究室に入ったのだろう。
あたしのいない研究室にすればよかったのに。
「.......っ、なんで?」
今日まで琉磨くんに悪いことなんてした記憶がなくて、なんでこんなに嫌われているのかがわからない。
気づいてないだけで、あたしは琉磨くんになにかしてしまったのだろうか。
「待って!琉磨くん!」
中庭から出ていこうとしている琉磨くんの腕を掴む。
「来てよ。お願い」
「触んなって」
あたしの腕を思いっきり振り払う。
「じゃあ、触らないでほしいなら来て」
「なんで、そんなに必死なんだよ。冬也ってやつのため?頼まれたから?」
琉磨くんが不機嫌そうにあたしを見る。
「冬也先輩に頼まれたから」
それだけじゃなくて、ただあたしが琉磨くんを好きだから近くにいたいだけ。
でもこんな事言ったら来てくれなくなるって分かってるから、この気持ちはもうどこにも出すことはない。
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