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「好き.......」
前を歩く琉磨くんの背中目掛けて、聞こえにないような声でつぶやく。
「.......は?」
「え?」
怪訝な顔して振り向く琉磨くんに聞こえているわけがないと思いながら、焦ってしまう。
「なに、いまの」
「い、いまのってなにかなー?」
まさか聞こえてたなんて思わなくて、とりあえずごまかそうとする。
「誰のこと好きって?」
「.......えーっと」
まさかの本当にきちんと言葉までは聞こえてたみたいで、あたしに近づいてる琉磨くん。
「冬也とかいうやつのこと?」
そのまま壁に追いやられる。
「や、違っ」
「なんでそんな赤くなってんの?冬也ってやつが好きだからだろ?」
琉磨くんとあたしの距離はもうちょっとしたら唇が触れちゃいそうなぐらい。
「.......っ、そんなの」
琉磨くんの顔が目の前にあるから赤くなっているのに、そんなこと言葉にできもしなくてなんて言ったらいいかわからなくなる。
「そんな顔するお前知らない」
ふっと顔を逸らす琉磨くん。
「.......え?」
「俺の知らないお前なんて見せるなよ」
そう告げる彼はどこか悲しげな表情をしている。
「.......琉磨くん?」
気づいたら琉磨くんの頬に手を伸ばしてた。
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