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「おー!但野!」
冬也先輩が琉磨くんに抱きつく。
「やめてくださいよ。気持ち悪い」
そんな冬也先輩にも塩対応な彼は誰にでもそういう感じらしい。
「但野くーん、きたんだねー」
美人で有名な研究室のマドンナ的な存在の明音(あかね)先輩が琉磨くんの肩に触れる。
「あいつがうるさいので」
ちらっとあたしを見る。
「ふーんわにしても相変わらず髪の毛サラサラしてるわね」
先輩もあたしをチラ見して、琉磨くんの頭を撫でる。
「そうっすか?そんなふうにあんま言われないですよ」
琉磨くんは明音先輩の手はよけないらしく、胸にモヤモヤが広がる。
「お?但野は明音の手はよけないんだー?」
「そりゃ、男より女のほうがいいじゃないっすか」
フッと柔らかい顔で「ははっ」と笑う。
久しぶりにみたそういう表情にときめくと同時に、あたしに見せてもらえないことに胸が痛む。
あたしには絶対見せてくれない表情に明音先輩が羨ましくなる。
「明音も俺の頭なんか撫でないくせになー」
冬也先輩がふくれっ面になる。
「冬也より但野くんの方がかっこいいじゃない」
明音先輩がニコッと笑う。
「はいはい。じゃあ俺はー」
冬也先輩がニコニコしながらあたしの元へと歩いてくる。
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