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「え?」
「遥ちゃんと遊ぼうかな?」
あたしに顔を近づける。
「と、冬也先輩近いです」
慌てて顔を逸らす。
「照れてるのー?かわいいー」
「そういうわけでは.......」
「遥ちゃんかわいいよね。ほんと」
逃げても逃げても顔を近づけてくるし、普段「遥ちゃん」なんて下の名前で呼ばないくせに呼んでくるし、何を考えているのかわからない。
「あのっ.......!」
必死に冬也先輩から逃げたいのに背けても背けても何度も捕えられるあたしの頬。
この近さはこのままだとキスされてしまいそうで困ってしまう。
「りゅ、琉磨くん!?」
グイッと引っ張られて、振り向くとすぐ後ろなすごく不機嫌な顔をした琉磨くんが立っていた。
「やっぱり俺お前のこと嫌いだ」
それだけ告げて手を離して研究室からスタスタと出ていってしまう。
「おい、但野!」
冬也先輩が呼ぶけど振り向くこともせずに行ってしまう。
「春日、お前大丈夫か?」
冬也先輩があたしの顔をのぞき込む。
「え、何がですか?」
「お前.......泣いてる」
「.......え?」
冬也先輩の言葉に頬に触れると生暖かい感覚。
あたしはいつの間にか泣いていたらしい。
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