不穏な気配

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陽菜「阿久津さん。この会社の社員に次々と引き抜きの声をかけてるみたいなんです。私も昨日電話で誘われました」 阿久津さんとは理一の共同経営者だった人物だ。今は大手の会社の部長として働いているが、理一を裏切り機密情報を売ったのだ 理一「あいつ俺たちを裏切ったのに、まだ満足してないのかよ」 腹立たしい気持ちと、情けない気持ちが理一を悩ませる 陽菜「たぶん懲りずにまた仕掛けてくると思います。誰一人阿久津さんの誘いに乗らなかったみたいですから」 大手の会社に機密情報を売るとき、会社のパソコンからデータを盗む段階で、一番重要なデータは社長の理一じゃないと、抜き取った時に消去されてしまうというトラップを仕掛けていて、それだけは守られたのだ 理一「そっか、みんなも阿久津を恨んでるからいい条件を提示されても誘いに乗らなかったんだろう。みんなには感謝だな」 社員が残ったのは理一の人柄もあるのかもしれない 陽菜「みんなこの会社が好きなんですよ。働くのが楽しいってなかなかないですし。社長がいるから付いていくんです」 その言葉に理一の胸が熱くなる 理一「ありがとう。もし新しい情報が入ったら知らせてくれ。俺も調べてみる」 陽菜「わかりました」 要注意人物、阿久津さんの事を詳しく調べて、向こうが仕掛けて来る前に先に手を打っておくつもりのようだ 何かが起こる前兆なのかもしれない
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