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大樹「もちろん時間が過ぎてるので、面接を受ける資格がないとキツく言われて諦めて帰ろうとしてました」
面接室を後にして歩き出した時…
~回想~
架純「君!ちょっと待ってて」
大樹は急に腕を捕まれ、足を止めた
その時、総務の私は面接の手伝いでその場にいたのだ
大樹「えっ?」
振り向くと、私が上司のもとに歩いていくところだった
架純「部長。彼の面接、受けさせてあげてもらえませんか?お願いします」
部長に頭を下げて頼んでいる
部長「規則は規則だ。遅刻するなんてもってのほかだ」
聞く耳を持たなかった
架純「確かに遅刻はいけないことです。社会人になるにあたって自覚がなさすぎます。でも、彼は今回のことで深く反省すると思います。
そして今後、絶対遅刻はしないと心に刻むと思うんです。誰だって失敗はします。でも、その失敗を叱るだけで、次のチャンスを与えないのはこれから成長する彼の可能性を潰すことになるんじゃないでしょうか?」
どうしても彼に面接を受けてほしくて、心からの思いをぶつけた
入って2年目のただの社員がこんなことを言っても、無駄なのかもしれない
でも、言わずにはいられなかった
架純「部長!お願いします」
引き下がるつもりもなかったし、ここで負けたら私が選んだこの会社に希望が持てなくなってしまう
部長「……わかった。一応、面接は受けなさい」
あまりに怖いもの知らずの私の態度に、渋々承諾してくれたようだ
架純「本当ですか?ありがとうございます」
自分のことのように嬉しかった
部長に頭を下げると、大樹の目の前に立った
架純「余計なお世話だったかもしれないけど、頑張れよ!君!」
肩をポンと叩くと、自分の仕事に戻った
大樹「ありがとうございました」
少し潤んだ目を手で拭きながら、頭を下げた
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