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2人の関係
数日後、仕事帰りに買い物をして1人でご飯を食べた後、電車でつり革につかまりながら、ボーッと窓の外を見ていた
あれから理一とは何度か、家の前で顔を合わせることがあった
でもちゃんと約束を守って、話しかけてこない
私も一瞬目が合うけど、すぐ反らして近づくことはなかった
よかった。理一、ちゃんとわかってくれたんだね
でも、このまま近くに住んでいたら理一を意識しながら過ごさなきゃならないし、忘れるなんてできるわけない
引っ越ししないとかな…
現実的に考えていた時だった
背筋がゾクッとして、なぜか誰かの視線を感じた
電車の窓に反射して写った反対側のドアのキャップを被った30代くらいの男の人が、私を見ているように思えたのだ
私の思い過ごしかもしれない
もしかしたら知り合いだったりするかもしれないし
いや、でも見たことない
すごく嫌な感じがして、早く電車から降りたいと不安になっていた
2駅我慢して降りる駅に着くと、急いで電車を降り、少し早めに歩いた
振り向くのも怖くてできない
改札を出ると、もう大丈夫だろうとゆっくり振り返った
さっきより深くキャップを被ったさっきの男が、改札を出できたのだ
もう怖くてしかたなかった
誰かに助けを求めたくても、震えて声がでない
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