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比嘉 菫
「彼氏のマフラーが欲しいなら、『ちょうだい』って言えばいいんじゃない? 神武は菫にベタ惚れしてるから、簡単にくれるでしょ」
隣のB組にいる親友、沙都は理解できないというように、弁当の里芋の煮っころがしを口に放り込んだ。
今日の昼、二人はB組の沙都の席で一緒に弁当を食べていた。
会話の内容を貴士に聞かれる心配はなかったが、菫は顔中真っ赤にして、俯いた。
「だ、だって。な、なんだか、それって……ヘンタイみたいじゃない?」
「ヘンタイなの?」
菫は思わず黙り込んだ。自分で言ってから、後悔した。
でも実際、そうかもしれない。ほんのり貴士の匂いがするマフラーに包まれていると、背中から彼に抱きしめられているような気持ちになったからだ。
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