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「そうなのかも。私……欲求不満なのかな」
菫の小さな呟きに沙都は目を剥いた。完璧に化粧した、形の良い眉が少し吊り上がる。
「何言ってるの? 菫の言ってることは欲求不満にも入んないよ。つきあってたら、ベタベタしたいし、キスだってしてもらいたいでしょ。……神武の方が信じられないわ。半年も何しとんじゃ、あいつは」
驚きで目を丸くした菫の唇に沙都はプチトマトを押し込んだ。友人の嫌いなものを体よく押しつけられただけなのだが、菫の口に甘酸っぱい味が広がった。
「こうなったら、菫の方からキスしてあげれば?」
「え? はっ、そ、そういうんじゃないんだってば!」
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