40人が本棚に入れています
本棚に追加
もうちょっとだけ、見てたかったかもな…などと、ちょっぴりアブナイことを考えていると、タッタッタ…と、誰かが駆けてくる足音に気がつき、振り返る。
「! まと…」
的場、どうした、と言いかけた大輝に飛び付き。
紅葉は、驚くその頬に自分の唇を押し付けた。
「……」
呆然として立ち尽くす大輝を見てペロリと舌を出すと、紅葉は
「今日のお礼するの忘れてたから」
と言って大輝から離れた。
「じゃーなー! おやすみ~!」
キスされた頬を押さえ、突っ立ったままの大輝に大きく手を振りながら、今度こそ紅葉は帰っていく。
(――的場…)
アオーン…と、遠くで鳴く犬の声が夜空に響く。
オレがヘンな道に走ったら……
「責任、取れよな」
夜道に残された大輝の呟きが、
遠吠えに混じって夜空に溶けたのだった。
-女装編 END-
.
最初のコメントを投稿しよう!