たとえばこんな、シチュエーション

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   高校に入ってから出会い、クラスは違うものの何となく馬が合い、何かあるとよくつるんではいた。 「友達」と意識して、まだ日も浅い。  そんな紅葉の女装姿を見て… 「的場にそんな趣味があったとは、知らなかったよ」 「ちっげーよ! クラスの連中にムリヤリ着せ替えられただけで…っ」  暗がりの中でも紅葉が赤面しているのが分かり、クスクスと笑いながら 「分かってるって。 ごめんな、からかったりして」  と大輝は言った。 (…ったく)  大輝はほかの男子たちと違い、ちゃんと自分を男扱いしてくれる。  性格もさばさばしていて、勉強だってスポーツだって、なんでもできるヤツだ。  みんなに優しくできるし、強いリーダーシップだってある。  だから大輝の言葉を信じる気になった紅葉は、苦笑して大輝に近寄った。 「そういうお前だって…そのブレザー、何なんだよ」  ぺたぺたと裸足で近づいてきた紅葉に指摘されて、大輝は口元に当てていた手を下ろし、自身を見下ろした。 「これか? 仮装の衣装」 「かそー? それでか?」  「そう」と応えた大輝は、前をくつろげたブレザーに手をかけ、紅葉を見た。 「コナンの主人公。…だってさ」 「ぷっ。 んだそれ! まんまじゃん!」  推理オタクで、サッカー部のホープ。  外部に可愛いカノジョアリ。  多くの設定がかぶりまくりで、紅葉が笑うのも無理はない。 .
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