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そんな折りに、
ある場所が襲われた。
話題にもされない、小さな場所での出来事だった。
だかしかし、そのとてものどかな場所にも、確かに人々の営みが息づいていた。
最初はただの言いがかりだった。
それが行き場のない負の感情を寄せ集め、集団で略奪の限りを行い、その土地に住む人の命を全て無くすことで弾けた。
どこにも救いがない。
した方にも
された方にも。
そんなことで得た略奪品に、どれ程の価値があるというのか。
目の前には、焼き払われ、無惨な姿を晒す人々の姿。
絶命してもなお、そこに悲しみと怒りと苦しみの念が漂っていた。
そこに、笛の音が流れ始めた。
儚くも美しいその音色は、周囲の空気も土地も浄化していく。
そして、禍々しく歪んだ魂たちの魂が、その音色によって浄化されていく。
これが唯一の救いであった。
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