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部長が高等部三年生、大磯が二年生に籍を置く聖顕現学園は、旧教系の男子校だった。
幼稚舎から大学院までを有する一貫校で、大学には神学部も存在する。
幼稚舎からの生え抜き、――聖エピ的に言えば『ブルーブラッド=高貴な血筋』な部長に対して、大磯は『高等部からの受験組=黒羊』だった。
ちなみに聖エピとは、聖顕現学園の英語名の『セント エピファニー スクール』を略した愛称だった。
聖エピ的と冠すれば、我が校的なという意味合いで用いられる。
聖顕現学園高等部の生徒会の機構は、会長を筆頭に、以下、三人の副会長たちが存在している。
書記と会計とは置かれていない。
副会長たちは三権分立の如く同等の権限を有し、あくまでも対等な立場だった。
この、一種独特な機構故に、生徒会の面々が『三賢人の来訪』の朗読劇を演じるようになったと伝えられているが、定かではない。
聖誕祭のミサの後には祝会が設けられていて、さらに二学期の終業式も兼ねていた。
その際に演じられる朗読劇は言わば、夏休み明けに選出された生徒会の役員らの承認式、お披露目でもあった。
新会長はメシア、――イエズス・キリストを、三人の新副会長らは、メシアを拝む三賢人をそれぞれ演じる。
現会長は朗読を担当した。
大磯が演じるのは三賢人の内のひとり、『黄金のカスパール』だった。
王権の証しである金を、救い主へと捧げる役だった。
聖誕祭以降、大磯は非公式ながらも『カスパール』と呼ばれることになる。
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